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舞台は音楽教室…ラブカは静かに弓を持つ(著者:安壇 美緒)を読んで

レッスンの合間には自分のおけいこをしたり小説を読んだりして過ごしています。
夏に図書館で予約した本がたくさんの利用者の元を巡り、ようやく私の元に届きました♪
ラブカは静かに弓を持つ(著者:安壇 美緒)という小説です。
前情報はなるべく入れないようにして読むのを楽しみにしていましたが、音楽教室と著作権法との関係という、昨今の音楽教室業界では数年前から話題になっている内容を扱っているということだけは知っていました。
このブログでは本の内容について詳しく書くことはしませんので、安心してお読みくださいね。

物語を読み進めていくと、小説の中とはいえ大手の楽器教室の雰囲気や音楽教室としての方針などスズキ・メソードの教室と違った細かい描写に目が吸い寄せられた部分がたくさんありました。
小説の冒頭から予感していたのですが、私、ページをめくっていくごとに胸がつかえ具合が悪くなってきました…
読者に向けては主人公の目的が語られているのですが、それを知ることのない音楽教室の講師が生徒さんを迎え入れ、お互いの関係を築いていく過程があまりに上手く描写されているからです。

あくまで私のことですが、チェロクラスへ体験レッスンのご予約をいただき初めてお会いする前から

  • チェロを好きになったきっかけは何だろう?
  • 弾きたい曲のイメージをお持ちなのかな?
  • チェロを実際に弾くことを楽しんでいただけるかな?

まだお会いしたこともない体験者さんのことを考えながら、年齢など事前にお知らせくださっている情報を元に準備をしています

大まかな流れはありますが、体験された方の反応や不安に思っていらっしゃることにお答えしていく中で、全く同じ体験レッスンはひとつもありません。

 

 

ご入会が決まりレッスンが始まれば、生徒さんの翌日、翌週、翌月、数年後の姿を想像し、チェロが上手くなる過程の中で生徒さんの人生において音楽そのものが友人とも呼べる存在になってほしいという思いで指導に励んでいます。

 

小説の中である登場人物が発した、音楽教室の講師と生徒との関係性を描写した言葉が印象に残りました。

音楽教室に限らず、善く育つこと、人と人との信頼関係というものは一朝一夕に成り立つものではなく、何でもないような小さなことを繰り返し、次に繋げていくことで育てていくのがあるべき形なのではないかと思っています。

 

 

人間関係の描写が細やかで、どのような結末を迎えるのか一刻も早く知りたくなってしまい、物語にぐいぐいと引き込まれました!

ぜひお読みになってみてください。