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サン=サーンス 動物の謝肉祭より「白鳥」

クラシックを日常的に聴かないという方も、フランスの作曲家、カミーユ・サン=サーンス(CamilleSaint-Saëns,1835-1921)の作曲した曲の中に、一度は耳にしたことのあるメロディーを見つけることができるかもしれません。

有名な曲としては、

・交響曲「死の舞踏」(Dansemacabre)作品40
・独奏ヴァイオリンと管弦楽の為の「ロンド・カプリチオーソ」(Introduction et Rondo capriccioso en la miner)イ短調 作品28

などが挙げられますが、チェロ弾きとしてはやはり

・チェロ協奏曲 第1番 イ短調 作品33(第2番もあります!)
・アレグロ・アパッショナート ロ短調 作品43
・動物の謝肉祭(Le carnaval des anpaux)

は外すことができません♪

「動物の謝肉祭」と言えば、チェロの永遠の名曲「白鳥」があまりにも有名ですね。

単体で有名な「白鳥」ですが、実は14局からなる組曲の中の一曲なのです。
曲目は次の通りです。

1曲「序奏と獅子王の行進曲」(Introduction et marche royale du lion


2曲「雌鶏と雄鶏」(Poules et coqs


3曲「騾馬」(Hémiones


4曲「亀」(Tortues


5曲「象」(L'éléphant


6曲「カンガルー」(Kangourous


7曲「水族館」(Aquarium


8曲「耳の長い登場人物」(Personnages à longues oreilles


9曲「森の奥のカッコウ」(Le coucou au fond des bois


10曲「大きな鳥籠」(Volière


11曲「ピアニスト」(Pianistes


12曲「化石」(Fossiles


13曲「白鳥」(Le cygne


14曲「終曲」(Final

私は「白鳥」の他に第7曲目の「水族館」が特に好きです。
どちらの曲も、色彩豊かで情景が自然と浮かび上がってくるところが似ているかもしれません。

この組曲はサン=サーンスの友人であるチェリストが主催した音楽会の為に作曲されたそうで、そう思うと「白鳥」をチェロの為に書いてくれたことにも納得がいきます。


ただ、私は理由はそれだけではないと思っています。

白鳥って、近くで見たことはありますか?
意外と大きな鳥です。ふっくらとした安定感のあるスタイル…なんだかチェロと似ていませんか?

曲の冒頭はチェロではなく、ピアノの美しい小波のようなモチーフから始まります。

これを、ある人は優雅に泳いでいる白鳥が水面下では一生懸命に脚を動かしている様子と表現したり、
湖の水面の細やかな動きと表現する人もいます。

私は、自分がこの曲を演奏する時はピアノの音色が陽の光がきらきらと水面に輝いている様子を表しているように聴こえてきます。


今年は都内のある教会でオーケストラをバックに演奏させていただくという珍しい機会をいただき、音楽の美しさを感じながら演奏させていただきました。
「白鳥」をいつか自分で演奏してみたい!
子どもにいつか弾いてもらいたい!
とチェロクラスの門をたたく生徒さんもいらっしゃいます。
スズキ・メソードのチェロ教本には、第6巻に「白鳥」が収録されています。

多くの人の目標となり、演奏する人、聴く人両方の心に響く「白鳥」を、ぜひ様々なチェロ奏者の演奏で聴いてみてください。
そして、チェロという楽器のファンになってくださる方が増えることを願っています!


私のおすすめは「動物の謝肉祭」を第一曲目から終曲まで通して聴いていただくことです。
二十数分ほどの曲ですが、組曲の一曲一曲が短く場面が移り変わっていくので、長さを感じさせません♪
ぜひお聴きになってみてください。